2017年4月5日投稿
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日本版AlphaGo!話題の囲碁AI「DeepZenGo」とは?

近年目覚ましい発達を遂げている囲碁AI。2016年、Googleが開発した「AlphaGo」の登場により、発達速度は更に上がっています。今回は、日本で開発された話題の囲碁AI「DeepZenGo」についてご紹介しましょう。
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日本版AlphaGo!話題の囲碁AI「DeepZenGo」とは?

引用元:http://gahag.net/006066-go-game/

「DeepZenGo」って知ってる?

「DeepZenGo(ディープ・ゼン・ゴ)」とは、日本が開発した囲碁AI(人工知能)です。これまでにチェスや将棋などでは、人間よりもAIが優れていることが証明されてきましたが、囲碁の世界ではまだまだ人間の方が優れていて、コンピュータが人間を超すにはあと10年はかかると言われていました。

しかし、2016年に入ってからは急変。世界的に有名な大企業「Google(グーグル)」が作った囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」の出現により、囲碁の世界でもAIが人間を脅かすようになったのです。

「AlphaGo」とは?

2016年1月、突如囲碁界が騒然となるニュースが飛び込んできました。なんと、当時の世界トップ棋士である李世石(イ・セドル)に、Googleが作った囲碁AIが挑戦するというビッグニュース。しかも全くのハンデなしの公式対局で五番勝負というから更に驚きです。

というのも、これまでに作られてきた囲碁AIというのは、最高でもアマチュア高段者レベルで、イベントなどでプロと対局する時にはハンデありというのが普通でした。

そして、そのようなイベント対局では、相手にしたのは現役タイトルホルダーのようなトップ棋士ではなく、若手棋士や、以前活躍していたシニア棋士との対局が主だったのですが、なんとGoogleはいきなり世界のトップ棋士を相手にハンデなしの勝負を仕掛けてきたのです。

人間を超えた囲碁AI「AlphaGo」

引用元:http://gahag.net/006804-go-game/

2016年3月、囲碁界にとって歴史的な瞬間が訪れました。Googleが開発した囲碁AIの「AlphaGo」が、当時の世界トップ棋士であるイ・セドルとの五番勝負で、なんと4-1で勝利!囲碁でコンピュータが人間に勝つにはあと10年はかかると言われてきたことが、あっという間に現実のこととなったのです。

これにより長年囲碁界で定石と思われていた手法や、対局に対する考え方に変化が起こり、果てにはプロ棋士の存在意義まで脅かすようになりました。

「AlphaGo」に触発された「DeepZenGo」

囲碁AIというのは、日本ではGoogleよりもずっと以前から開発に取り組んでいました。「UEC杯コンピュータ囲碁大会」という囲碁AIだけの囲碁大会も2008年から毎年開催されています。その中でも多く活躍していた囲碁AIが「Zen(ゼン)」でした。

「Zen」は、2010年の第3回大会から出場していたのですが、優勝3回、準優勝2回という輝かしい成績を残しています。さらに、プロ棋士と対局する「電聖戦」でもハンデありですが、勝利することもあり、日本製の囲碁AIとして一目置かれる存在でした。

そして、2016年3月、「AlphaGo」に触発された「Zen」開発チームは、「DeepZenGo」プロジェクトを発足。

「Zen」の開発者である尾島陽児(おじまようじ)氏と加藤英樹(かとうひでき)氏らを中心として、大手企業のドワンゴや、囲碁の総本山である日本棋院などの協力のもと、「AlphaGo」に負けない囲碁AI「DeepZenGo」を開発することになったのです。

世界初!囲碁AIが参加した国際戦

「DeepZenGo」プロジェクトが発足されてから1年後の2017年3月、とうとう世界初の囲碁AIが参加する囲碁の世界大会「ワールド碁チャンピオンシップ」が開かれました。

これまで囲碁の世界戦はおろか、国内戦でも囲碁AIが参加する公式タイトル戦は開かれたことはありません。ついに囲碁AIが人間の大会に足を踏み入れることになったのです。

この「ワールド碁チャンピオンシップ」には、日中韓を代表する3人のトップ棋士が集まりました。

代表は井山裕太(いやまゆうた)九段、中国代表は芈昱廷(ミ・イクテイ)九段、韓国代表は朴廷桓(パク・ジョンファン)九段です。いずれも各国を代表するトップ棋士。その中に、囲碁AI代表として「DeepZenGo」が参加したのです。

日本代表・井山裕太九段とは?

井山裕太九段は1989年生まれ、大阪府の出身です。5歳の時にテレビゲームで囲碁を覚え、6歳の時には早くもアマ3段の実力があったそうです。

小学1年生の夏にプロ棋士の石井邦生九段に弟子入りし、小学4年生の時に日本棋院関西総本部の院生になります。

そして2002年、中学1年生の時にプロデビュー。12歳でのプロ入りは日本囲碁界ではかなり早い方で、期待の大型新人として話題になりました。

その期待に応えた井山裕太九段は様々な棋戦で優勝を重ね、次々と最年少記録を塗り替えていきます。

そしてついに2016年、27歳の時に前人未到のタイトル七冠制覇を達成。囲碁界の歴史に残る偉業を成し遂げた井山裕太九段は、現在日本を代表する第一人者として活躍しています。

中国代表・芈昱廷(ミ・イクテイ)九段とは?

芈昱廷九段は1996年生まれ、中国江蘇省の出身です。4歳の時に囲碁を覚え、2006年、10歳の時に北京の馬暁春(バ・ギョウシュン)囲棋道場に入門します。

そしてわずか1年後の2007年、11歳の時にプロデビュー。2013年、17歳の時に世界大会の「第1回Mlily夢百合杯(エムリリーゆめゆりはい)」で優勝します。その後も年々実力をつけていき、2017年の中国ランキングでは2位になっています。

ちなみに、日本の井山裕太九段は、国内戦のスケジュールで忙しく、世界大会に出場する機会があまりなかったので、残念ながらこれまでメジャーな世界大会で優勝したことはありません。

なにしろ七冠を達成するくらいですから致し方ないことかもしれませんね。しかし、世界大会で活躍できるほどの実力は持っているので、機会がなくて残念に思っている日本の囲碁ファンは多いことでしょう。

韓国代表・朴廷桓(パク・ジョンファン)九段とは?

朴廷桓九段は、1993年生まれ、韓国ソウル市の出身です。6歳の時に囲碁を覚え、2003年10歳の時に権甲龍(グォン・ガプリョン)道場に入門します。そして2005年、12歳でプロデビュー。12歳でのプロ入りは韓国棋士としては比較的早い方で、早くから期待されていました。

その期待を背負い国内戦で活躍し続け、2010年アジア競技大会の囲碁団体戦とペア碁戦では見事に金メダルを獲得。これにより九段に昇段したのですが、17歳11ヶ月の九段昇段は最年少記録として話題になりました。

そして2011年、18歳の時に世界大会である「第24回富士通杯」で優勝。2015年、22歳の時には「第19回LG杯」も優勝。世界大会で通算2回の優勝を記録しています。韓国ランキングは2013年から3年以上1位を保持していて、現在韓国を代表するトップ棋士として活躍しています。

世界トップを相手に互角の戦い!

「ワールド碁チャンピオンシップ」は、日本代表の井山裕太九段、中国代表の芈昱廷九段、韓国代表の朴廷桓九段、囲碁AI代表の「DeepZenGo」の4名の総当たり戦で行われました。

「DeepZenGo」は、初日は中国の芈昱廷九段、2日目は韓国の朴廷桓九段と対局したのですが、世界トップ棋士を相手に互角に戦い、終盤までは優勢を維持するほどでした。

残念ながら両局とも終盤にミスがあり負けてしまいましたが、対局内容は人間では打てないような妙手を打つこともあり、観戦者を楽しませ、プロ棋士などからは絶賛されました。

日本の井山裕太六冠に勝利!

そして、最終日には日本代表の井山裕太九段と対局して勝利!井山裕太九段は先程も紹介したように、2016年に囲碁史上に残る大記録である前人未到のタイトル七冠制覇を達成した日本を代表するトップ棋士です。

2017年の対局当時には六冠になっていますが、それでも現役最強の日本棋士に勝利したことには変わりません。「DeepZenGo」はプロジェクトを発足してからわずか1年で、日本の最強棋士を上回る実力を身につけたのです。

DeepZenGoの今後に期待!

今回行われた「ワールド碁チャンピオンシップ」は、優勝は韓国の朴廷桓九段、準優勝は中国の芈昱廷九段、注目された「DeepZenGo」は総合成績3位で幕を下ろしました。日中韓を代表する棋士3人と勝負をして、4人中3位というのは素晴らしい成績です。

Googleの「AlphaGo」は、2017年中にプロジェクトは終了するとのことですが、「DeepZenGo」の開発プロジェクトは今後も続きます。

今回行われた世界初の囲碁AIが参加した世界大会「ワールド碁チャンピオンシップ」も、2019年までは開催される予定です。一体来年にはどのような対局になるのでしょうか。今後も「DeepZenGo」からは目が離せません!

ライター : nitro15
趣味は囲碁観戦。韓国、中国、世界戦が大好きです。最近は囲碁AIにも注目しています。


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