2017年4月11日投稿
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囲碁電聖戦は2017でファイナル!ついに囲碁AIが人間を圧倒!

囲碁AI(コンピュータ)がプロ棋士(人間)と戦う「囲碁電聖戦」は、2013年から毎年開催されてきましたが、2017年でファイナルを迎えました。開始された時は、まだまだ人間の足元にも及ばなかった囲碁AIですが、たった5年で人間を圧倒!今回は、ファイナルを迎えた第5回囲碁電聖戦についてご紹介します。
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囲碁電聖戦は2017でファイナル!ついに囲碁AIが人間を圧倒!

撮影者:nitro15

囲碁AI(コンピュータ)がプロ棋士(人間)と戦う「囲碁電聖戦」は、2013年から毎年開催されてきましたが、2017年でファイナルを迎えました。開始された時は、まだまだ人間の足元にも及ばなかった囲碁AIですが、たった5年で人間を圧倒!今回は、ファイナルを迎えた第5回囲碁電聖戦についてご紹介します。

囲碁電聖戦ファイナル!

2017年3月26日、東京の飯田橋で第5回囲碁電聖戦が行われました。この対局は、囲碁の総本山である日本棋院が公認するプロ棋士と囲碁AIの公式戦となっています。囲碁AIが定期的にプロ棋士に挑戦することで、囲碁AIの実力の進歩の過程を測るという目的もある大会です。

2013年から毎年開催されてきましたが、近年の囲碁AIの急速な発展にともない、囲碁AIがプロ棋士に挑戦するという形式は今回で終了ということになりました。囲碁AI発展の集大成となった第5回囲碁電聖戦ですが、一体どのような結末を迎えたのでしょうか?

囲碁電聖戦に出場する囲碁AIの基準とは?

撮影者:nitro15

囲碁電聖戦に出場する囲碁AIは、一体どのように選ばれているのかご存知ですか?これは、毎年開催されている囲碁AIだけの大会「UEC杯コンピュータ囲碁大会」において、優秀な成績を収めたプログラムに出場権が与えられるのです。

UEC杯コンピュータ囲碁大会は、2008年に第1回大会が行われ、今回でちょうど第10回となっています。こちらも囲碁電聖戦と同様に今大会で最後となりました。

最後のUEC杯は中国の「絶芸」が優勝!

撮影者:nitro15

毎年行われてきたこのUEC杯コンピュータ囲碁大会には、日本のみならず、中国や韓国、台湾、アメリカ、フランスなど世界各地から優秀なプログラマー達が一同に集結。各々が腕を奮って制作した自慢の囲碁AI同士による戦いが繰り広げられてきました。最後となった第10回UEC杯コンピュータ囲碁大会で優勝したのは、中国の囲碁AI「絶芸(ぜつげい)」です。

中国の囲碁AI「絶芸」とは?

撮影者:nitro15

「絶芸」は、世界的にも有名な中国のIT企業である「テンセント」が開発した囲碁AIです。開発期間はなんとたったの1年。しかも、開発チームは囲碁のルールも知らない技術者が10人程度というから驚きです!囲碁AIの開発というのは、基本的にプログラムを組んで膨大なデータを読み込ませる作業なので、開発者の囲碁の実力はあまり関係ないようですね。

「絶芸」はインターネット囲碁対局サイトに2016年11月に突如出現したのですが、非公式のネット対局ながらも韓国や中国のトップ棋士と対戦し、次々と勝利しました。ネット囲碁界では話題となっていた囲碁AIです。

今回のUEC杯コンピュータ囲碁大会でも予選から圧倒的な実力を見せつけ、唯一の7戦全勝で決勝トーナメント入り。決勝トーナメントでもゆうゆうと勝ち上がり、決勝戦では日本を代表する囲碁AI「DeepZenGo」を破って優勝を決めました。

日本最強の囲碁AI「DeepZenGo」

撮影者:nitro15

「DeepZenGo(ディープ・ゼン・ゴ)」は、日本が誇る世界トップクラスの囲碁AIです。UEC杯コンピュータ囲碁大会には第3回から「Zen」という名前で出場していました。「Zen」はこの大会で、優勝3回、準優勝2回という素晴らしい成績を残しています。さらに囲碁電聖戦でもプロ棋士と対局し、ハンデありの対局でしたが勝利することもありました。

2016年にはバージョンアップして、「DeepZenGo」に名前を変更。開発者である尾島陽児(おじまようじ)氏と加藤英樹(かとうひでき)氏らが中心となり、大手企業ドワンゴや日本棋院などの協力のもと、開発が進んでいます。

今回のUEC杯コンピュータ囲碁大会でも、当然優勝候補として「DeepZenGo」の名前があげられていたのですが、惜しくも決勝戦で中国の「絶芸」に破れてしまいました。しかし、囲碁電聖戦の出場権は優勝者と準優勝者に与えられるので、「DeepZenGo」も囲碁電聖戦に出場する運びとなったのです。

囲碁電聖戦歴代対局者との成績は?

撮影者:nitro15

囲碁電聖戦は2013年から開催されてきましたが、毎回日本を代表する指折りのプロ棋士たちが、囲碁AIの挑戦を受けてきました。第1回は、「コンピュータ」という異名を持つ二十四世本因坊秀芳(にじゅうよんせいほんいんぼうしゅうほう)こと石田芳夫(いしだよしお)九段。第2回は、日本以外にも世界で活躍した依田紀基(よだのりもと)九段。

第3回は、最多タイトルホルダー記録保持者である二十五世本因坊治勲(にじゅうごせいほんいんぼうちくん)こと趙治勲(ちょう・ちくん)九段。第4回は、数々の名誉称号を持つ小林光一(こばやしこういち)名誉棋聖。いずれも日本の囲碁史上に残る大棋士たちばかりです。

毎回UEC杯コンピュータ囲碁大会で優勝・準優勝した囲碁AIと1局ずつ打ってきましたが、4人とも1勝1敗。しかもすべてハンデありの対局であり、コンピュータがプロ棋士と対等に勝負できるようになるには、まだまだ数年はかかるものと思われてきました。

それが2016年に、世界のトップ企業「Google」が製作した囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」の出現により激変。囲碁AIの実力があっという間に上昇し、今回ファイナルとなった囲碁電聖戦では、ついにプロ棋士とハンデなしの対等勝負をすることになったのです。

電聖戦最後の対局者は一力遼七段!

撮影者:nitro15

囲碁電聖戦ファイナルを飾る対局者として、プロ棋士側は一力遼(いちりき・りょう)七段が選ばれました。ちなみにこの囲碁電聖戦の対局者は、囲碁AIの方はUEC杯コンピュータ囲碁大会での優勝・準優勝者が選ばれるわけですが、プロ棋士は特に選抜戦などはなく、日本棋院が実力やスケジュールなどを考慮して推薦する棋士が対局します。

今回推薦された一力遼七段は、1997年生まれ、宮城県出身の若手トップ棋士です。5歳の時に囲碁を覚え、2010年中学1年生の時にプロデビュー。12歳でのプロ入りは日本では比較的早い方で、一力遼七段はデビュー当時から期待されていました。その期待通りめきめきと実力を伸ばし、さまざまな棋戦で最年少記録を塗り替える活躍をしていきます。

2013年には公式戦で初優勝し、2014年には若手の国際棋戦である「グロービス杯世界囲碁U-20」でも優勝。将来の日本囲碁界を牽引していくことが予想される、若手最強棋士の1人です。

第1局は「DeepZenGo」が勝利!

撮影者:nitro15

囲碁電聖戦は、午前と午後に1局ずつ打ちます。第1局は「DeepZenGo」、第2局は「絶芸」という順番で行われました。注目の第1局は「DeepZenGo」が勝利。囲碁電聖戦の持ち時間は30分なのですが、このような短い持ち時間の対局は、一般的なプロ棋士の公式戦ではあまり見られません。

局面を読む速さは、人間よりもコンピュータの方が圧倒的に速いです。一力遼七段はあっという間に持ち時間を使い切ったのですが、「DeepZenGo」は、ほとんど一手10秒程度で打っていきます。一力遼七段が投了した時には「DeepZenGo」の残り時間は、まだ21分も残っていました。

第2局「絶芸」も勝利!

撮影者:nitro15

昼休憩を挟んだ後に行われた第2局は、持ち時間は1時間で行われました。これは、今まで行われてきた電聖戦ではなかった持ち時間です。持ち時間1時間というのはプロ棋士の公式戦でもあります。やはり、最後の電聖戦ということで、プロの公式戦のような対局でラストを締めくくるという意図もあったのかもしれませんね。

結果はこちらも囲碁AIである「絶芸」が、持ち時間を40分ほど残して勝利。電聖戦はこれまですべて1勝1敗で打ち分けてきたのですが、最後の電聖戦でついにプロ棋士が0勝2敗に。完全に囲碁AI側がプロ棋士を圧倒する結果となりました。

局後の記者会見では……

撮影者:nitro15

対局終了後の記者会見では、やはり持ち時間のことが話題になりました。一力遼七段は、持ち時間が長い対局なら、まだ人間側にも勝つ可能性はあるのではないかと語ることも。また、大会主催者からは、囲碁電聖戦やUEC杯コンピュータ囲碁大会は今回で終了するけれど、囲碁AI対プロ棋士の大会はこれからも形を変えて継続するという話もありました。

これからどうなる?!囲碁AI vs プロ棋士

撮影者:nitro15

2016年に飛躍的な進化を遂げた囲碁AIは、これからもまだまだ実力を伸ばしていくことが予想されます。現在はハンデなしの対等勝負ですが、将来的には人間側がハンデありで対局することになるかもしれませんね。

また、現在の公式戦で最大の持ち時間は8時間です。このような対局は、1日では終わらないので2日かけて打たれます。しかし、囲碁AI同士だと持ち時間8時間の対局でも休みなく打ち続けることができるので、1日で終了するのかも?!そうなると一体どのような対局内容になるのでしょうか。

囲碁AIによって新しい世界が開かれるかも?!

人間の世界では見ることができなかった世界が、囲碁AIの世界では見ることができるようになるのかもしれません。さらに、そうなることで人間側としても新しい世界が開かれることになるのではないでしょうか。囲碁AIの発展が人類の進化にも繋がると思うと、今後が楽しみですね!

ライター : nitro15
趣味は囲碁観戦。韓国、中国、世界戦が大好きです。最近は囲碁AIにも注目しています。


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